子供のスナップ写真でボケをコントロールする

カメラ

 デジタル一眼レフ(最近ではミラーレス)の醍醐味ともいえるボケ。これはいかにして得ることができるか、子供のスナップ撮影を中心にまとめてみます。

 子供の写真を撮る時に背景ボケを意識し多用しています。コツをつかめば運動会や遠足でカメラマンが撮ってくれる写真から、小さく写った我が子の写真を選んで買うよりはマシが写真が撮れるようになると思います。

 別に高い機材が必要とも思いません。スマホよりだいぶマシな写真が取れるようになります。

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ボケの5大要素

 写真表現の要素の一つとしてボケがあります。背景や前景をぼかし、ピントの合った被写体を際立たせる手法で、個人的に子供の写真の大半はこのパターンです。

 ボケを得るためには、写真撮影時の色々な要素が関係してきます。広く知られている要素としては、大きく5つ。「カメラのセンササイズ」「絞り(F値)」「カメラから被写体までの距離」「被写体から背景までの距離」「焦点距離」があります。

 これらの要素を状況に応じて組み合わせることで、それっぽいボケた写真を撮ることができます。簡単にまとめると

ボケるボケない
センササイズ大きい小さい
F値小さい大きい
焦点距離望遠広角
カメラから被写体までの距離近い遠い
被写体から背景までの距離遠い近い

 こんな感じになります。つまりセンササイズの大きいカメラで、F値を開放で、ズームレンズであれば最大望遠で、被写体に寄れるだけより、背景は遠ざける。これが基本になります。

 全部がいっぺんに成立することはないので適宜取捨選択することになります。

センササイズ

 センササイズはカメラ側のスペックになります。撮像センサの大きさです。

 フルサイズと呼ばれる一般的には最も大きいセンサを採用しているカメラの方がボケを得やすく、一般的なレンズ交換式カメラの中でも最も小さいセンサを採用するマイクロフォーサーズがボケを得にくいです。

 この図の様に、大きいセンサで撮った写真の一部を切り抜いたのが小さいセンサの写真になります。この画像の場合同じ位置から同じ焦点距離のレンズで撮影するとマイクロフォーサーズではテントやテーブルは写りません。こうしてみるとだいぶ小さいですね…。

 画角と焦点距離の関係で、センサがデカいほど同じ画角を得るためには長い焦点距離が必要となり、結果として同じ画角の写真であれば大きいセンサほどボケやすいといった関係になります。(これは厳密には焦点距離が長くなることが理由です。詳細の原理は割愛)

 背景がボケた写真を撮る事だけを目的とすればフルサイズを選択しない理由はないのですが、いかんせんボディがデカく、重く、そして高価です。

 小さい子供を連れて出かける際には極力荷物を減らしたいもので、そんな中でフルサイズを担いで歩くのは大変です。荷物が重くなるせいで撮影枚数が減ってしまっては元も子もありません。

 自分は重さが気にならない室内ではフルサイズです。外では状況次第で小型のマイクロフォーサーズ機を使い分けています。

F値(絞り)

 F値はレンズ側のスペックになります。レンズの絞りです。オートであれば撮影時にシーンに合わせて自動で調整してくれます。

 同じ条件であればF値を小さく(絞りを開く)するほどボケを得ることができます。絞りを開くことで被写界深度が浅くなり、ピントが外れたところが大きくボケます。逆に絞るほどピントが広い範囲で合います。

 この写真の様に、F2.8だとレオにフォーカスとあてるとウルトラマンはボケボケですが、F32まで絞り込むと全員にピントが合います。

 この理屈に関しては以前記事にしました。

 開放にすることで、撮影時レンズの隅々まで使い周りの光を多く集め、集光しない(ピントが合っていない)対象は大きくボケる。というイメージです。

 もちろんこれもボケた写真を撮ることを目的とすれば、開放F値が小さいレンズを選べば良いのですが、これも大きくなりがちで、重く、そして高価です。手に入れやすい明るいレンズは単焦点であることが多く、外で動き回る子供を撮ろうと思うとやや不便です。

 なので室内では重たい通しF2.8のズームレンズを使い、外ではお手軽な望遠ズームレンズを装着するというスタイルです。

 同じ画角や焦点距離であれば開放ほどボケます。めいっぱい開放で撮りましょう。

焦点距離

 焦点距離はレンズ側のスペックです。ズームレンズであれば、撮影者が撮影時に適正な倍率を手動調整することになります。

 ボケを得るためにはできるだけ焦点距離が長い望遠側を使うと良いです。つまりズームレンズであれば望遠側にして被写体から離れた方が背景がボケます。

 同じF値(絞り)で撮影しています。300mmの方が後ろの木の幹が大きく映り、ボケが大きく見えます。

 このメカニズムはうまく説明できませんが、なんとなくイメージはつかめます。遠くの物が大きく写るので、広角側と同じボケ幅でもボケて見えます。そんな理解です。

 子供が大きくなってくると動き回る量が大きくなるので、望遠で遠くから狙った方がそれっぽい写真が取れることが多いです。300mmとかそんなレンズを付けて、バストアップの写真を撮ると普段とは違った雰囲気の写真になります。

 焦点距離のコントロールに関してはあまり大きさとのトレードオフはないかもしれません。もちろん標準のズームレンズよりは大きくなってしまいますが、望遠ズームでも小さいレンズはあるので屋外ではそれもありです。

 ズームレンズの場合は被写体から離れて、最大望遠で手振れを気にしながら撮りましょう。

撮影者から被写体までの距離

 ここからはカメラやレンズのスペックではありません。

 撮影者から被写体までの距離が近いほど、背景は大きくボケます。数cmの距離にピントを合わせると、数10cm離れた物はだいぶボケます。

 この距離が短いほどボケます。

 先の焦点距離で説明した「離れて望遠でボケる」と矛盾するような言い方ですが、人物のような被写体を同じ大きさでフレームに収めようとする場合には望遠が有利です。単焦点の様にズーミングができない場合には寄れるだけ寄った方が有利です。

 手元の小物を撮るようないわゆるマクロ撮影をするとよくわかりますが、それこそどんなカメラを使ってもピントが合っていない所は大きくボケます。むしろ小物を広い範囲でピント合わせしようと思うと難儀です。

 単焦点レンズの場合は画角におさまるだけ被写体に寄りましょう。

被写体から背景までの距離

 これも撮影時のコツです。カメラやレンズの話ではありません。

 被写体とぼかしたい背景との距離でボケ方は大きく変わります。ぼかしたい背景が遠くにあればあるほどそのボケ量は大きくなり、近いとボケにくくなります。

 この距離が長いほどボケます。

 メカニズムも直感的だと思います。背景が近いということは、ピントが合っている被写界深度の範囲に近いということなので、ボケにくいです。

 このような事からも、よほど広い家でない限り一般的には室内の写真の方が背景がボケにくいです。しかも家の中の雑然とした物をぼかしたい事の方が多いので、室内を撮る時の方がこのコツは使いにくく、これまで説明したような、他の要素で調整する必要が出てきます。逆に屋外ではちょっと構図を気にすればきれいに背景がボケた写真を撮影することができます。

 背景は遠くに。被写体は壁際から遠ざけましょう。

撮影のコツ

 これまで説明してきた5つの特性を押さえる事で、被写体の背景がボケた味のある写真を撮ることができるようになります。

 センササイズの大きいカメラで、F値を開放で、ズームレンズであれば最大望遠で、被写体に寄れるだけより、背景は遠ざける。これが基本になります。

 個人的には子供の撮影で、屋内外でこんなルールに行きついています。

室内でどっしり構えてボケ

・重さは気にせず、フルサイズで明るいレンズ。
・部屋の広さ次第で焦点距離は気持ち長め(50mm程度)。
・画角におさまるだけ被写体に寄る。

 これにより雑然とした背景はキレイにボケ、生活感が出にくい雰囲気のある写真になります。室内は一般的に暗いので、ストロボも使うとさらに良いです。お財布とも相談ですが、室内であれば被写体との距離は調整しやすいので、単焦点レンズでも十分だと思います。

屋外で機動力を持ってボケ

・重さや体力次第では小型カメラを使用
・レンズは望遠よりのズームレンズを絞り開放で使用
・同じ被写体をズームレンズで撮るなら自分が離れて「望遠側」

 屋外で遊びまわる子供を撮影する場合にはさほど高価なカメラないしレンズを用意する必要はないと思います。よっぽど機動力の方が大事だと思っています。外は十分明るいし、遠くから狙えばAPS-C+望遠ズームレンズでも、スマホでは撮れないような十分それっぽい写真は撮れると思います。

 よっぽどAFスピードと連写速度が重要だと思います。

 個人的にはいい感じのボケを楽しむのに、必ずしもフルサイズは必要だと思っていません。ごつい室内用のフルサイズ+明るい単焦点と、屋外用のマイクロフォーサーズ+軽い望遠ズームの2つの使い分けが多いです。メリハリ付けた方が結果として使いやすいものです。

 同じレンズが使えるからと無理にマウントシステムをそろえる事もないかなと思っています。フルサイズのレンズがつくAPS-C機に、フルサイズのレンズを付けて使うことはほぼないです。APS-Cのコンパクトさのメリットがスポイルされると思っています。潔くマウント違いを2台買いましょう。

 もちろん写真によってはボケりゃいいわけでもない。子供のスナップを子供中心に撮るときに限った話です。夜景や風景を狙う場合はまた別です。

 2人以上を並べて立たせた場合にはこの限りではありません。片方にしかピントが合いません。そのあたりは適宜設定を変えるなり使い分けないといけません。何度失敗したことか。

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